2017年5月 監査論セレクト30題第5版発行のお知らせ

 「監査論セレクト30題」は、公認会計士試験の論文式試験対策の書籍です。
 2013年7月の初版発行以来、版を重ねて、この度「第5版」を発行することになりました。
 ついては、感謝の気持ちとして、下記の要領で「無料配布キャンペーン」を行います。
 
 無料配布部数10冊です。
 下記のメールアドレスに、「監査論セレクト30題第5版希望」の旨と、郵送先の住所、氏名を送信してください。
 メールアドレス; takuya@nakazato-cpa.com
 締切は平成29年5月末です。
 応募多数の場合には抽選とさせていただきますが、応募少数の場合は応募を継続します。

 書店等での販売は6月中旬以降になると思います。
 よろしくお願いします。 公認会計士 中里拓哉

【追記情報】
上記の応募は締め切りました。ご応募頂きました方には、お礼申し上げます。有り難うございました。
なお、発行が遅れているようです。申し訳ございません。
6月中旬までには発送できると思います。何卒、ご容赦願います。2017.6.8 中里

  
 
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2017年5月 昭和40年前後までの粉飾決算と監査人の役割

 当時の粉飾決算は、現代と比べて、どうも様子が異なるようです。
 財務諸表監査も今ほど有効に機能していない時代だったそうです。
 下記は当時の景気の波です(「粉飾決算」並木俊守著(昭和40年7月)実業之日本社)。
・ 昭和24年~昭和28年 朝鮮動乱ブームの後、昭和29年は不況に。
・ 昭和30年~昭和32年 在庫投資ブームの後、昭和33年は不況に。
・ 昭和34年~昭和37年 設備投資ブームの後、昭和38年は不況に。
 この「4年間の好景気のあとに1年間の不況が来る」という波の中で、昭和34年からの経済成長は、「年々二十パーセントを超える高度経済成長」と言われていますから驚きます。
 強気の経営者がガンガン設備投資を進めていったことも理解できます。
 この過剰な設備を抱えたまま、昭和37年の不況に入るわけですが、「また1年我慢すれば、好景気に戻るだろう」との楽観視もあって、下記で示すように「粉飾多発時代」が到来します(当時は今と異なり、有価証券の発行形態としては額面発行による株主割当が主流であって、株式市場もこれを前提とした価格形成がなされ、投資判断として財務諸表を利用する必要性が乏しいことに加え、経営者も「利益平準化」、「安定配当」のため、「粉飾もやむなし(必要悪)」という考え方が主流だったのです)。

 果たして、昭和37年の東急くろがね工業に始まり、大王製紙、カワサキ目黒製作所など6社が、また昭和38年には山口自転車、日本製紙など4社が、昭和39年には日満興業、日本特殊製鋼、サンウェーブ興業、富士車輌など16社が、さらに昭和40年には有名な山陽特殊製鋼、日本繊維工業、大阪土木などが相次いで倒産し、その中には巨額の粉飾決算を行っていた会社もありました。
 さらに当時の大蔵省は、粉飾の多さを憂慮して企業に対して「自主訂正」を促しますが、その結果、昭和41年以降、一部上場で21社が自主訂正を行い、その後17社が大蔵省からの訂正命令を受けました(これほど多くの企業が粉飾を吐露した時代というのも驚きます)。
 一方、財務諸表監査は、まだまだ未熟な制度でした。
 ある経営者は監査人に対して「まさか、本当に帳簿を見るなんてことはあるまいに」や「他人の作成した帳簿を調べることは恥ずべき行為であって、帳簿を見ずに黙って印を押す先生こそが「大物」である。」との意見もあったそうですから驚きます(公認会計士制度25年史・日本公認会計士協会25年史編さん委員会;近畿会編(昭和50年))。
 
 当時は粉飾を見逃した監査人の責任問題も社会問題にならなかったそうです。
 その後、粉飾の多発時代を超え、昭和40年、41年に監査基準も強化されるとともに、監査法人制度もスタートし、監査人も「本気で」監査をするようになってきた時代となり、マスコミも大きく取り上げるようになっていったようです。
今では到底考えられないのですが、当時の考え方はずいぶんと異なっていたのでしょう。
 
 また、機会を改めて、当時の具体的な粉飾事例を紹介したいと思います。Taku

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2017年5月 東芝の「監査人交代」の意向

 2017年4月、東芝が監査法人の変更を検討しているとの報道がありました。
 新日本が退任した後を引き継いだPwCあらたは第1Q、第2Q、第3Qを結論不表明としています。
 そこで東芝は「監査人との溝が埋まらない」という理由で監査人を交代するというのです。
 東芝の経営陣は、何か根本的に勘違いをしているのかもしれません。
 自己の都合の悪い監査意見を嫌って、自己の都合の良い監査意見を貰おうとすることを「オピニオン・ショッピング」といい、財務諸表利用者の信頼を大きく損なう行為です。 
 仮に監査人の候補者(準大手の監査法人の名前が挙がっているようですが)がいるとしても、オピニオン・ショッピングの可能性に加えて、このタイミングでは監査手続を十分に行う時間がありませんから、ほぼ間違いなく、東芝の監査を引き受けることはないと思われます(よしんば引き継ぐ監査法人が現れたとしても、金融庁が上記の問題からストップをかける可能性も高いです)。
 上記は、財務諸表監査の世界では常識といっても、過言ではないと思うのです。
 
 東芝の経営陣は、そのリスクを識別できなかったのでしょうか。
 「監査法人なんて、どこでも替わりはいるんだ」と考えていたのかも知れません。これは大きな間違いです。
 今回の東芝の「監査人を交代する」との経営判断は、「著しく不合理」と考えられ、「経営判断の原則」が適用されない可能性があり、しかるに東芝経営陣は、また新たな責任問題を背負い兼ねない状況ともいえるかもしれません。

 ちなみにPwCあらたが結論不表明としている理由を要約すると、以下のとおりです。
 「東芝の監査委員会は、米国WHの一部経営者による不適切なプレッシャーの有無及び会計への影響について調査を実施したが、当監査法人は当該調査の評価を継続中であって、レビュー報告書作成日現在、終了していない。継続評価の対象事項には、・・・損失を認識すべき時期がいつであったかを判断するための調査に対する当監査法人の評価も含まれている。」
 要するに、子会社の過去の業績が水増しされた形跡があり、もっと前から損失が多額に出ていたのではないか?がハッキリしないわけです。このことは「東芝が債務超過に陥ったタイミングがもっと早かったのではないか?」という懸念にもつながるのです。

 監査人の意見がなくても直ちに上場廃止にはなりませんが、上場廃止かどうかは東京証券取引所が判断することになります。
 さぁ、どうなるでしょうか?注目です。Taku
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