2017年1月 療養費不正受給9.5億円~東京新聞

 新聞を持つ手が震えました。「憤り」を超え「諦め」のような感情も伴いました。
 今朝(1/19)の東京新聞です。
「マッサージ、はり・きゅう悪質業者横行」の表題です。
 厚生労働省の公表した資料によると、2008年以降、36都道府県で55,000件、約9億5千万円の不正受給があったとしています。
 厚生労働省は、「不正は(金額、件数とも)請求全体の0.3%」としていますが、施術師の全国団体幹部は「発覚しているのは氷山の一角」と指摘し、元業界の男性のコメントとして「チェックの仕組みが無く、やりたい放題になっている」としています。
 仮に彼らの話が正しければ、一般の企業では考えられないほどのお粗末な話です。
 果たして、厚生労働省の方々は、自分を被害者とでも思っているのでしょうか?
「不正請求をする側が悪いのだ」と考えているのでしょうか?
「チェックの仕組みが無く、やりたい放題になっている状況について、適切に対応していない我々が悪い」とか、「一般の企業ではあり得ないほどの内部統制の重要な不備である。」と考えないのでしょうか?
 不正請求は「詐欺」です。
 たとえ金額、件数ともに0.3%であったとしても、刑事事件として告発する等の断固たる措置を講ずるべきでしょう(1億円を持っている人が30万円騙し取られたときに「0.3%だからいい」とは思いません)。また、今回の調査に見られるように、「不正請求がなされるかもしれない」との性悪説にたてば、必要な管理体制を構築しなければならないことは容易に想定できるはずです。
 やはり今年の1/4の日経新聞の一面では「職員の不正会計・情報漏洩防止」「首長に対策義務付け」という記事が掲載されました。いわば一般企業の内部統制の構築義務が首長に課したともいえるでしょう。
 公務員の組織にも内部統制を構築する義務があるわけです。
 必要な管理体制を構築しなかった結果、巨額の賠償金を支払った一般企業の役員らがいることは事実です。仮に公務員の組織の中で不正が発生し、その防止・発見策を十分に講じていなかった場合には、一般の企業と同様に、その不正によって生じた損害を賠償する義務が生じることとなるのです。

 ときに、最近の就職先として公務員が人気だそうです。
 なるほどリスクを嫌った安定志向の方々に公務員が人気なのはよく解ります。
 「なぜ公務員になりたいのか?」という問いに「一般企業のように利益追求型でなく、お金では計れないような価値を見いだすような組織で仕事をしたいからです。」と答えたエピソードを伺いました。良い答えです。
 しかし、不正請求に応じ、騙されてお金を巻き上げられてしまっては情けない話です。
 利益追求型であろうが無かろうが、自分のお金が取られたら、たとえ0.3%でも許せるはずはありません。人に騙されないように注意するのが普通の人なのです。
 仮に、人に騙されて、食い物にされながら、誰も責任を取ることもない組織だとしたら・・・。普通じゃありません。
 そんな公務員にはなりたくないですよ。誰も。
 なんとも情けない、なんとも残念な話です。Taku
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