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2016年12月 大晦日に思う

 一昨日の12月29日の昼。突然の訃報。
 会計士の大先輩である澤田さんが亡くなった。
 私が所属していた仰星監査法人の元理事長。日本公認会計士協会近畿会の会長。
 日本公認会計士協会の副会長でもあった、偉大な先輩である。
「また春にでも、大阪に遊びに行くつもりだったのに。」
 声が震え、涙腺が緩んだ。
 葬儀のため、東京江戸川から、兵庫三田へ向かう。
 年末の帰省ラッシュ。指定席もグリーン席も満席。
 自由席のチケットを買い、喪服のまま、迷うことなく指定席車両のデッキに座る。
 今朝の新聞を床にひいて。なんてことはない。たかだか2時間30分だ。

 何年前だろうか。澤田さんが大阪から東京にいらっしゃったとき。
「中里、話がある。どこか好きな店でも予約しておけ。ゆっくり話そう。」
 有難い話である。
 人形町の「今半」を予約。高価なすき焼きをご馳走になった上、銀座のなじみの店に連れて行って貰った。
 とても可愛がって貰った。
 強面であるものの、笑顔が印象的だった。
 ただ、会計士業界の将来の話、仰星監査法人の組織に関する議論の際は、「ある意味・・・」「逆に言えば・・・」の口癖とともに、厳しい顔をされていた。
「コミュニケーションこそが重要だ。相手を傷つけないように配慮して話すなんてことは甘い戯れ言だ。一歩も二歩も踏み込んで、相手を傷つけることもおそれずに話せ。本気で話せば、いくら険悪な雰囲気になっても、その後の修復は容易なものだ。」

 熱い方だった。
 自分に厳しい方だった。
 彼が目指したのは、「最大」ではなく、「最強」の監査法人である。
 正に『北斗監査法人』なのである(今は「仰星監査法人」となっている)。

 私は澤田さんが大好きだった。
 以下、澤田さんが最期の力を振り絞って作り上げたものである。

・ 「会計プロフェッショナルの矜持」 清文社 2016年5月
・ 「仰星監査法人25年史」 2015年9月

 もっともっと、澤田さんの話を聞きたかった。
 しかし、もう、それはできない。無念である。
 今年も、もう残すところ、わずかである。
 「ゆく年、くる年」を見ながら、偉大な先輩を思う。Taku
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2016年12月 広告宣伝費の繰り延べ15百万円>経常利益3百万円

 東証マザーズ、福証Q-Boardに上場するトラストホールディングス株式会社は、福岡・博多を本社とし、駐車場を中心とした不動産事業等を手掛けるグループ企業です。同社は、2016年11月、「当社連結子会社による不正な会計操作について」を公表し、連結子会社である「トラストネットワーク株式会社」において、不正な会計操作が行われていた可能性について示しています。
 不正の手法は「費用の繰延」です。
 具体的には、同報告書では、「平成28年(2016年)6月に計上すべき広告宣伝費の請求を平成28年7月以降へ繰り延べるように取引先に依頼した」、「平成28年6月より繰り延べされた金額は約15百万円と推定」としています。
 仮に上記が事実であれば、下記の点で大きな問題と考えられます。

・ 取引先に依頼して事実に反する請求を行わせたこと
 広告業者は、顧客である広告主の要望を可能な限り応えようとするでしょう。そのため、広告主は強い立場にあるわけです。
 今回の不正な操作は、広告主としての強い立場を利用して、広告業者に対して「翌期の請求にしてくれ。」と事実に反する指示をしていた可能性が高いのです。要するに「隠蔽工作」です。その分、悪質性が高いと考えられます。

・ 連結の経常損益が「黒字」か「赤字」かの瀬戸際
 同社の第3期(2016年6月期)の連結業績は、売上高14,028百万円、経常利益3百万円、当期純損失103百万円でした。
 また、今回の操作により繰り延べられた費用は推定で15百万円です。
 売上高や当期純損失と比較すれば「大きな影響はない」と考える方もいるかもしれませんが、経常利益と比較するとどうでしょう。
 表題でも示しましたが、「広告宣伝費の繰り延べ15百万円(推定金額)>経常利益3百万円」ですから、この推定が正しければ、「2016年6月期の連結業績は、実は赤字でした」ということになります。

 また、今回の不正な会計操作について同報告書では、「平成28年10月に実施した・・・月例会議において、・・・7月以降通常月より大幅に悪化していることが判明」としています。
 なるほど、同社の内部管理体制により、不正が適時に発覚したと評価することもできるでしょう。
 しかし、7月以降の業績悪化を10月に把握するというのは、やや遅きに失した感は否めません。本来、「当期に計上すべき費用を翌期に計上していないかどうか」という問題点は、財務数値に関連する人間にとって、常々意識すべき点でしょう。また、月次決算の数値は、遅くとも翌月の上旬には把握し、適時な経営判断に役立てることが重要とされます。
 もう少し早く気付いても良かったと考えられます。

 さらに気になるのが、同報告書の下記の「なお書き」です。
「なお、過年度の発生の事象であり、第1四半期決算発表の前のため、当期の業績には影響はありません。」
 確かに当期の業績には影響はないのかもしれませんが、昨年の業績についての記述はありません。
 その意図はないのかもしませんが、かえって「大した問題ではない」という誤った印象を読み手に与えませんでしょうか?

 繰り返しになりますが、今回の事件では、取引先への指示を伴う「隠蔽工作」と直近の決算数値の経常損益が「黒字か赤字かの背戸際」にある中での操作といった懸念があります。
 一連の情報の受け手である皆さんは、どのようにお考えなのでしょうか?Taku
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 当ブログは、中里会計事務所による不正事例研究会の記事を発信しています。
 不正事例研究会 中里会計事務所
実際の事件を知ることが、同様の事件を繰り返させないための想像力を養い、対策を有効に機能させるための第一段階になると信じます。
連絡先:中里会計事務所 電話03-6228-6555
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