2013年6月 インデックス循環取引?

 新聞報道がスゴイですね。
 今朝(6/13)の日経新聞「上場維持狙い粉飾か」「循環取引続ける」と、社会面で大きく報じています。EDINETで調べたところ、平成25年4月に公表している第2四半期報告書では、監査法人は「限定付結論」を表明しています。おぉ、レアなケースですね。
 
「限定付結論の根拠 
 会社は第2四半期報告書上の前年度連結貸借対照表において、繰延税金資産881百万円、その他有価証券評価差額金321百万円を計上している。その一部の会計処理について誤っている可能性があるが、会社は当該処理の妥当性を確認中であり、該当部分について十分かつ適切な証拠を入手することができなかった。」
 要するに「財務諸表の一部の適否が判明できませんでした」ということです。
 でも循環取引については、記述はありません。

 もう一つ、監査法人の報告書には、「強調事項」が付されています。
「強調事項
 継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は、当第2四半期連結累計期間において、1,372百万円の経常損失、2,263百万円の四半期純損失を計上しており、当第2四半期連結会計期間末において、1,435百万円の債務超過となっている。当該状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。なお、当該状況に対する対応策及び重要な不確実性が認められる理由については当該注記に記載されている。四半期連結財務諸表は継続企業を前提として作成されており、このような重要な不確実性の影響は四半期連結財務諸表に反映されていない。当該事項は、当監査法人の結論に影響を及ぼすものではない。」
 要するに、「会社は倒産の危機にあります」ということです。
 
加えて、今回の循環取引の報道。「2011年8月末には債務超過に陥っていた可能性」が指摘されています。
 上記の通り、監査法人のレビュー報告書では、循環取引に係る記述はありません。
会社は循環取引により、業績の悪化を先延ばしにしていたのでしょうが、監査法人はその会計操作に気付かなかったのでしょう。これは大変なことになりそうな・・・。
報道だけでなく、会社の発表する資料にも注目したいと思います。
当該不正事例の研究は、後日改めて。Taku
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2013年6月 増田製粉所の子会社従業員による不正

株式会社増田製粉所(大証2部)は、「当社連結子会社元従業員による不正行為に関する調査結果について」において、連結子会社の元従業員による現金の着服に係る不正行為の概要、再発防止策等を公表しました。
株式会社増田製粉所グループ全体からすれば、業績に与える影響は軽微であり、組織的な不正でもありませんから、社会一般的には大きな問題として扱われないでしょう。
しかし不正事例研究会では、本不正事例は中小企業にとって「教科書的な事例」として注目します。
本事例は、どこの中小企業でも発生しうる「よくある話」であって、注目すべきは「実際に不正が発生するかどうか」ではなく、「いかなる状況にあると不正が発生しやすいのか」ということです。
不正を「対岸の火事」と考える中小企業の社長さんには是非ともご一考いただきたい事例といえるでしょう。

まずは、状況説明からしましょう。
 常勤役員3名、従業員12名。
「よくある」中小規模の会社です。親会社が上場会社である関係でこうした不正が公表されることになりましたが、そうでなければ社会一般に明らかにならないレベルの不正でしょう。
 不正実行者の立場は「総務部次長(部長不在)、総務経理課長、損害保険課長の他、営業部次長、営業2課次長を兼務」し、また「経理課内では、現金出納、小切手の振出、銀行口座管理、受取手形管理、買掛金の計上・支払及び期末の棚卸の調整から会計ソフトの入力までを兼務」していました。
 「兼務」が「不正の温床」であることは一般論ですが、それにしてもかなりの兼務の状況です。経理と営業、現金出納からソフト入力、棚卸の調整まで。何でも1人でやらなければならない、大変忙しい状況でしょう。
それだけに様々な不正の方法が考えられるわけです。

 次に公表された資料において整理された6つのタイプの不正を紹介します。

不正タイプA(小切手の過大振出)8,632千円
ある支払のために小切手を振り出す際、必要額以上の金額を小切手に記入して現金化し、差額を着服する不正です。着服した差額分だけ、当座預金に相違が生じることになりますが、他の勘定を操作してこれを隠蔽します。

不正タイプB(現金着服)20,730千円
 現金回収された売上代金を預金に預け入れる際に一部を着服する不正です。これも着服した差額分の預金残高に相違が生じることになりますが、やはり他の勘定を操作して発覚を免れていました。

不正タイプC(簿外出金)650千円
 小切手を不正に振り出して現金を着服する不正で、もっとも単純です。帳簿上は出金記録はなされずに簿外であったとされますから、帳簿の当座預金残高と銀行側の発行する当座照合表との間には相違が生じていたはずです。

不正タイプD(経費仮装)140千円
 帳簿上、福利厚生費という名目で経費計上して、実際は現金を着服する不正です。経費が過大計上となります。福利厚生に係る領収書等の証憑を偽造しない限り、「不明朗な支出」として目を付けられることになりますが、これも金額は些少です。
 
不正タイプE(立替・仮払回収金着服)134千円
 経費の立替や仮払として概算額(例えば30,000円)を担当者に渡し、その後の精算の際に残額(領収書等が添付された実際使用額を26,000円とすれば残額は4,000円)を着服する不正です。着服差額は、適当な科目で経費処理してしまうことで、経費が過大計上となります。これも金額は些少です。

不正タイプF(積立金着服)254千円
 従業員の給与から天引きされる従業員の親睦や冠婚葬祭目的の積立金を着服する不正です。この不正実行者は、こうした積立金の管理も任されていました。もはや不幸と言うほかありません。金額は大きくありませんが、本当にこの不正実行者は手癖が悪いようです。
 
 上記から分かるように、本不正事例の大部分は、不正タイプA(8,632千円)と不正タイプB(20,730千円)から構成されます。しかし、C~Fも「よくある不正」の例なので、A~Fのそれぞれの不正について、次回、不正防止策・発見策を検討したいと思います。
 確かに手癖が悪いといっても、不正の実行を思いとどまらせるような仕組みを構築していれば、ここまで大胆な不正は実行できなかったはずなんですよね。Taku
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