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クラウドゲート(旧テラネッツ)上場廃止 2012年2月

1.上場廃止理由
 デジタルコンテンツ制作のクラウドゲート(旧テラネッツ;札幌アンビシャス上場)が2012年3月をもって上場廃止となることが明らかになりました。
 粉飾した会社が上場廃止になるかどうかの判断はオリンパス事件でも話題になっており、個人的には同社が上場廃止となるとしても、その理由に注目していました。
 その理由は以下の通り(抜粋)でした。
 「訂正後の決算情報は①売上高、利益を大幅に減少させる・・・、②本件発覚まで上場後一度も正しい財務諸表を開示しておらず・・・、③2期連続債務超過であって株券上場廃止基準に定める要件に抵触・・・④上場申請期である平成18年12月(2006年12月)期の・・・利益については黒字から赤字に訂正」といった内容です。
 上記について、①は粉飾がある以上当然ともいえますが、②は「ただの一度も!」という感情が籠もっています。上場廃止理由としては、③の債務超過が決定的と思われますが、上場して間もない会社であることから④も重要な要素でしょう。

2.主な経営指標の訂正前と訂正後
具体的にどのような粉飾だったのかを、公表された資料を基に検討してみます。
クラウドゲート経営指標推移Ver3

2006年12月期が公開直前期(2007年2月上場)で、予算必達・黒字決算のプレッシャーがあったようです。

その2006年12月期について、売上の架空計上66百万円(403百万円-337百万円)は容易に推定できますが、それだけでは赤字と黒字を逆転させることはできません。この点、公表資料では「会計方針の変更」により利益を捻出したようです。具体的には、コンテンツの取得費用を従来は一括で費用計上していたところ、「コンテンツ勘定」として無形固定資産に計上し、減価償却資産としたのです。これにより費用計上のタイミングが翌期以降にズレこみますから、一時的に業績を良く見せることができるのです。
 2007年12月期では、その手法が大胆になります。架空売上195百万円(561百万円-366百万円)と費用の繰延等による損益の過大計上223百万円(56百万円-△167百万円)で業績が堅調であるように見せかけています。
 ところが2008年12月に同社の業績は一転します。
 2008年12月期には、架空の売上100百万円(581百万円-481百万円)があるものの、訂正前の損失1,148百万円を計上し、一気に債務超過(純資産△388百万円)に陥るのです。
これは競輪関連のソフトウェア事業を行う子会社への貸付金872百万円に対する貸倒引当金と債務保証損失引当金242百万円を併せた1,114百万円に相当する損失でした。売上の2倍近い損失を計上した以上、なかなか復活は厳しそうですが、この会社の業績で注目すべきところは、翌年、債務超過から脱却している点です。
 2009年12月期以降は、売上の仮装も無くなります。また、訂正前の債務超過△388百万円を解消したのは、2009年12月期の利益214百万円と第三者割り当て増資(215百万円)によるものです。
 2010年12月期には、訂正前の純損失△159百万円を計上しますが、やはり増資で200百万円調達し、債務超過を回避しています。

3.キャッシュ・フローの操作
 加えて注目すべきは、営業キャッシュ・フローの操作です。
 訂正後の営業キャッシュ・フローはすべて赤字ですから、本業で資金が社外に流出していたのですが、訂正前の情報ではこれを把握することはできません。キャッシュ・フローは粉飾しにくいものですが、この会社の粉飾では、後の5.具体的な粉飾手法で指摘するように、固定資産の取得や貸付金等の流出資金を循環させて収益を仮装していましたから、投資キャッシュ・フロー(キャッシュ・アウト)と営業キャッシュ・フロー(キャッシュ・イン)とが両建てになっていたことが推定されます。

4.債務超過の回避
 訂正前後の経営指標を見て注目すべきは、繰り返しになりますが、やはり債務超過です。
 訂正前では2008年12月期に債務超過に陥ったものの、2009年12月期には債務超過から脱却しています。しかし実態は、2008年12月期は△521百万円、2009年12月期は△83百万円の債務超過だったということです。
 「債務超過か否か」は、財務諸表利用者にとって、非常に重要な情報です。
であればこそ、なんとか2009年12月期に第三者割り当て増資をして債務超過の解消を目指したのだと思います。

5.具体的な粉飾の手法
 以下では、具体的な粉飾の手法について説明します。
複数ある手法のうち、今回の粉飾事件として特筆すべき手法が、「資金の循環を前提とした仮装取引」です。仕訳を例に説明しましょう。
 例えば、固定資産の取得に係る仕訳があります。
 (借)固定資産(コンテンツ) 30,000千円 (貸)預金 30,000千円
  一方で、コンテンツ使用許諾料の収入に関する仕訳があります。
 (借)預金 28,000千円 (貸)売上高(収入手数料)28,000千円
 上記の二つの仕訳は、全く別の取引に見えますが、今回の粉飾の手法は、これらが裏でつながっていたのです。つまり固定資産の購入先に支払った資金30,000千円が、別会社を経由して、「コンテンツ使用許諾料」の収入28,000千円として戻ってきているのです。差額の2,000千円は、経由した別会社への手数料が抜かれていると思えば自然です。
 上記取引が監査の対象となったとしても、裏でつながっていることが明らかでなく、それぞれ固定資産の購入に係る証憑書類や売上に係る証憑書類が社内に整備されているとしたら、監査人は「問題なし」と判断する可能性は高いと思われます。
 「資金循環を前提とした」とあるのは、「出ていったお金」と「入ってきたお金」が実は同じだったと言うことなのです。
 2008年12月期に子会社貸付金について貸倒引当金872百万円を計上していますが、これも「子会社貸付金」として出金し、他社を循環させて、「コンテンツ使用許諾料」として売上計上する方法も同様の手法です。
この粉飾の方法は、とにかく金が必要です。一旦、資金を出さない限り、その資金を売上の入金として処理できませんから。

6.総括
 以下、本事件から学ぶべき点を総括します。
 とかく粉飾決算の究明というと、事後的・結果論的になりがちなのですが、主要な経営指標を時系列で比較して以下のような事象や状況を識別した場合には、粉飾の可能性を検討する余地があります。
・会計方針の変更
 特に本件では公開直前期の会計方針の変更と言うことで、相当怪しさがありますが、そもそも正当な理由か否かは難解な問題です。会計基準の変更に伴う会計方針の変更以外の会計方針の変更については、利益操作の可能性について疑った方が健全でしょう。(ただし、現行基準では会計方針を変更しても遡及適用が求められていますから、利益操作目的の方針変更は減少するかも知れません。)
・不自然な資産の増減
 仮払金や建設仮勘定、ソフトウェアや長期貸付金、関係会社株式等、資金が流れている先に注目することが肝要です。もちろん、売掛金や棚卸資産の著増減にも注目が必要です。異常な増減の裏には異常な事象や状況があるモノです。
・巨額の損失発生
 堆積していった資産を一気に損失に落とす場合、会社はV字回復を目論むことがあります。翌期以降の利益のために、当期に過度に保守的な処理に傾斜することがあります。加えて、「保守主義に基づいて、損失に計上しているのだから問題はないだろう」という姿勢の裏には、実は過去の粉飾の事実が隠れていることもあります。

 粉飾を見いだすことは大変難しいですが、「何か変だなぁ」と思うことはそれほど難しいことではありません。決算数値を見るときには時系列比較、他社比較をお忘れなく。Taku
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e-Taxは、誰のためのシステムか?

確定申告の季節です。今年、始めて国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用しました。数値を入力すると、税額を計算し、確定申告書を作成してくれる便利なシステムです。今まで、自分でEXCELにIF文やらVlookUp関数やらを駆使して、作成していたのがまったく不要になったのは感激でした。
初めて利用される方へのおすすめは、初めからe-Taxを利用するのではなく、書面提出を選ぶことです。電子証明控除が(最高4,000円)を受けられるかの計算結果を見た上で、電子証明書の取得・カードリーダーの購入等に時間とお金をかける意味があるのかを判断した方がよいでしょう。

使用しながらこのシステムが10年ほど前に話題となった国税総合管理(KSK)システムの一環だった、と思い起こしました。KSKシステムは、1980年金丸信自民党副総裁の一言でグリーンカード導入を止めたときに朝霞に建築中の施設などを利用するということで、開発されました。その開発費は当初の7倍の3,000億円となり、文祥堂がインテグレーターとして相応しいかということが、マス・メディアをにぎわしたこともありました。2年ほど前には、事業仕分けで取り上げられ、年間経費が359億円、うちランニングコストが275億円かかっている巨大なシステムです。

 これだけ投資されているシステムなら、さぞ使いやすいシステムになっているのだろうと、期待を込めて、少しばかりいじってみたところ、気づいたのは次のようなアラでした。

1.始めの画面には、初めて利用する人のために、質問書形式による申告書作成が用意されています。
 これはわかりやすいと質問に答えていくと、出てくる給与所得の入力画面は「申告書を作成する」を
選択した人とまったく同じなのです。例えば、医療費控除に「いいえ」と回答入力していても、医療費控除のボタンは、グレーアウトしません。「いいえ」と答えたものは申告に関係ないのですから、グレーアウトするのは普通のことでしょう。連動して作ろうという発想がないのか、開発費がまだ足りないのか。いきなり、このシステムは誰を対象にしたシステムなのだろうと、考え込んでしまいました。
そういう目で見ると、
2.給与所得は、源泉徴収票の見本から該当項目を入力するようになっていて、わかりやすくはなっています。でも、なぜ源泉徴収票と同一の画面にして、「手元にある源泉徴収票の金額をその通り、入力してください。」としないのでしょう。確定申告手続きの敷居を低くすることへのこだわりは見えてきません。

3.これは結構深刻な問題です。
入力内容に矛盾があると、「入力内容を確認する場合は”OK”をクリックしてください、入力内容に誤りなければ”キャンセル”をクリックしてください」という警告がポップアップされます。どこに誤りがあるかについての検証を促す画面は、出てこないので、この警告がでたら専門家以外は、途方にくれることでしょう。用語について、説明のあるQ&Aも知りたいことに答えているとは言えないところもあります。

4.他にもファイル保存時にファイル名を変更して保存できない等、細々したことがいくつかありました。
利用している人は、もっといろいろと不便を感じていることだろうと思うのですが、ネットを見るとそのような意見はあまり見かけないのが不思議です。

 事業仕分けの議事録を見ると、SEが人月139万円等の質疑があるのですが、3E(Effectiveness,Efficiency,Economy=有効性、効率性、経済性)の観点からシステムを再点検するには至っていません。
ITアーキテクチャーは、毎年制度変更がある等、税制特有の事情に適合しているのか。ハード、ソフト、ネットワーク等々は適切に運用されているのか。何より、納税手続きは納税者自らが税務当局に毎年の所得を申告し、納税するという、「申告納税」が原則という観点から、納税者に使いやすいシステムとなっているか等の有効性についての議論は行われていません。

ここはNPM(New Public Management)の第一人者である会計検査院のM検査官に期待して、投資効果の検証をお願いすることにしましょう。Mさん、よろしくお願いします。
Tetsu
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テーマ : 意見・つぶやき
ジャンル : ビジネス

大王製紙前会長バカラ賭博で43億円

 2012年3月、大王製紙の前会長の初公判がありました。
 検察側は冒頭陳述で、前会長は5,530百万円もの資金を子会社から無担保で借入れ、そのうち4,380百万円をカジノで使ったと主張しました。「なせ、そんな巨額になってしまったのだ?」というのが一般的な疑問でしょうが、ギャンブルに熱くなる心理面からすれば、その解答は簡単なモノです。
 株主、従業員に多額の損失をもたらし、社会に重大な影響を与えた本事件を、ギャンブルに熱くなる心理面から、冷静に検討してみたいと思います。

 大王製紙の前会長が「はまった」のは、バカラ賭博です。
 バカラは簡単に言えば、洋風の「おいちょかぶ」で、ディーラーがカードをプレーヤーとバンカーと二方向に配り、いずれが9に近いかをかける非常に単純なゲームです。
 丁半博打もバカラも基本的に二者択一で勝負するわけですから、1回の勝率は5割です(厳密にはバカラの場合、バンカー側が勝利した場合は5%のコミッションが取られます。)。
 この手の博打は、賭け続ければ当然に買ったり負けたりしますし、一定額を平坦に賭けて遊んでいる分には、特に大きく負けたり、勝ったりすることはありません。

 そこで、大きく勝つために、「勝負所」を決めて、そこで一時的に掛け金を大きくすることが一般的に行われているようです。
 重要なことは、その「勝負所」の勝負運ではなくて、「その勝負の後」の心理面だと思います。
仮に、その勝負に勝った場合には、「まだ行ける」と賭け続けるのか、「儲けたからやめる」と手仕舞いするのかの二者択一です。一方で、仮にその勝負に負けた場合には、「こんなはずはない。もう一回勝負!」と賭け続けるのか、「仕方ない。もう負けた」と手仕舞いするのか二者択一です。

 「まだ行ける」と賭け続ける人は、結局は負けるまで賭け続けるでしょうし、「こんなはずはない。もう一回勝負!」と賭け続ける人は、当然に負けが大きくなります。
 要するに、勝っても負けても賭け続ける人は、絶対に負けるのです。「幾ら勝ったら止めるのか」「幾ら負けたら止めるのか」という着地点をハッキリさせない以上、賭けること自体が目的となって、負けるまで賭け続けてしまうのです。
 前会長は、一時的に勝ったかもしれませんが、その勝った分も含めて負けるまで賭け続けたのです。
 4,380百万円。 大変な金額です。

 通常の人はそんな金額まで賭け続けることはできませんが、前会長はその金を引っ張ってくることができたからこそ、そこまで賭け続けることができたのです。さらに言えば、もっともっと借り入れることができたなら、より多額になっていたはずなのです。
 加えて通常の人は、「ギャンブルなんて馬鹿馬鹿しい」と早い段階で気がつくのですが、不幸なことに前会長は気がつかなかった、というのが非常に単純な答えなのです。

 以下の前会長のコメントはその証左です。
「国内のバカラでは不正が行われているから負ける。海外なら不正が行われていないから勝つことができる。」
 まともな発想なら、「国内で負けるなら海外でも負ける」と考えるでしょうし、負ける原因が自分でなく、他にあると考えること自体が大きな過ちでした。
 そして、なによりも前会長は、自分自身が「不正」を行っているのであって、他の人の不正をとやかく言えるはずもなかったのです。残念です。

 それでは、この前会長の暴走は、どのように防止することができたのでしょうか。
 前会長本人の責任は当然としても、その周りにいる人間はどこまで気がついていたのでしょうか?創業家の御曹司である以上「何もいえない」と見て見ぬ振りをしている人はいなかったのでしょうか?前会長に苦言を呈する人はいなかったのでしょうか?
創業家の絶対的な支配がある以上、他の役員、管理職は何も言えなかったことは、やむを得ないことだったのでしょうか?
 2011年3月期の有価証券報告書に前会長への貸付があることは、会社が公表しており、周知の事実になっているにもかかわらず、「2011年9月に巨額借入が表面化した」とする会社側の説明は正当なのでしょうか?

 こうした様々な疑問は、今後の公判で明らかになっていくと思います。
 なんとも不幸な事件ですが、背筋を伸ばした姿勢で地裁に入っていく前会長の姿は堂々としており、印象的でした。Taku
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不正受給問題への対峙

 厚生労働省の生活保護不正受給と、文部科学省の大学教員による研究費の不正問題が相次いで報道されました。

 生活保護の不正受給は過去最多で、25,355件(前年度19,726件;5,629件の増加)、12,874百万円(前年度10,214百万円;2,659百万円増加)。また、大学教員による研究費の不正について、少なくとも40の大学・研究機関で、公的な研究資金の不正経理が79百万円あったようです(大学・研究機関の自己申告に基づくもので、今後、金額は増加する模様)。

 行政機関の管轄は異なるものの、いずれも同種の問題です。
また、ニュースを見て「ケシカラン」と思うものの、「やっぱりな」と納得してしまう面もあります。
これは、「世の中には悪い奴はいるモノだ」という諦めに近い心境に起因していると思います。しかし、「世の中には悪い奴はいるモノだ」と考えていれば、生活保護を支給する側も、研究費を支給する側も、性善説に立つことは許されないはずです。
 「だから、こうした調査をしているのではないか」と胸を張る方もいるのかも知れませんが、現状の対応が十分なのかどうかは定かではありませんしもっともっと改善の余地があると、多くの国民が思っているはずです。
 一般の企業を考えてみましょう。
 事実に基づかない請求書を一般の企業に送りつけて、架空請求をした場合、どれくらいの企業が支払いに応じるでしょうか。一部、のんびりした企業が間違って支払ってくれるかも知れませんが、「これは架空請求だ。支払いに応ずる必要はない」と多くの企業が判断することになるはずです。
 
 一方で、今回問題になった不正受給についてはどうでしょうか。
 推測でモノを言うのは良くありませんが、「こんな発想はなきにしもあらず」と思えて仕方ありません。
「①不正に請求する方が悪い。」そのとおりです。
「②支払った側は被害者だ。」これも、そのとおりでしょう。
「③だから我々は悪くないのだ。」ここは、どうでしょうか?本当でしょうか?

 この③の発想が、不正受給の温床となっていると思うのです。
 もっと真剣に不正受給に対峙すべきだと思うのです。
 騙す方が悪いに決まっていますが、騙された方にも責任がある、という発想を持つことが重要だと思います。
 そのためには、今回のニュースにもあったように不正受給に対する調査を強化することが重要でしょうし、踏み込んだ調査権限を地方自治体に付与することも重要でしょう。研究費の不正受給についても単に自己申告で調査を終わらせるのでなく、部分的にでも大学や研究機関に乗り込んで調査することも必要でしょう。

 不正を思いとどまらせる体制を作ること、「やり得」を許さない仕組みを作ることが望まれます。Taku
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FOI粉飾事件に実刑判決 2012年2月

以下、本件の経緯を簡単に示します。

 2009年3月期を直前期として2009年11月マザーズ上場(一般投資家から52億円を調達)
 2010年5月に証券取引等監視委員会の強制捜査
 2010年6月に上場廃止

 FOI社の粉飾は、上場してから6ヶ月足らずで上場廃止となった異例な事件でした。
 この異例なスピードは、上場してから180日間は、上場前からの主要株主は株を売却しないという約束(ロックアップ条項)に起因します。ロックアップ条項は、一般に上場直後の大量の株式売却による株価の急激な下落を防ぐことを目的としていますが、証券取引等監視委員会の強制捜査はこのロックアップ条項の期限を睨んで行われたのです。 つまり、ロックアップ条項の期限を迎える2010年5月までに強制捜査を行うことで、大株主の株放出を事前に阻止し、それによる一般投資家の被害拡大を防止することができたのです。

 一方、粉飾の手法も注目に値します。
 同社の有価証券届書によると、2009年3月期の売上高は118億円としていますが、ほとんどが架空の売上で、実際の売上高は3億円だったようです。また、同期末の売掛金は228億円とされ、年間の売上高のおよそ2倍の売掛金が計上されていました。
 売掛金が2年間回収されないという常軌を逸した状況に疑問を抱いた方々も少なくありませんでした。
 むしろ、決算数値の異常な動きは、上場審査や監査担当者ばかりでなく、一般の投資家を含め、ほとんどすべての関係者は気がついていたはずです。
 にもかかわらず粉飾に気がつかなかったのは、とても残念なことです。
 売掛金の回収期間が長期にわたることについては、有価証券届出書上それらしい説明がなされていますが、粉飾であることが分かった以上、その説明は根も葉もない嘘だったことになります。その嘘を上場審査や会計士監査が見抜けなかったのです。
 粉飾は2004年3月期から行われていたようですが、架空の売上計上は完成度高い偽造書類に裏付けられており、また書類だけでなく実際に装置を出荷して、別の倉庫に保管するという周到さだったようです。
 さらには、ほとんどが海外売上だったため、海外の偽の取引先に会計士と同行し、通訳に嘘の説明をさせることで会計士を騙したとの報道もありました。

 会計士が監査を行う上で「あれ。なんか、おかしいな?」「ほんとかな?」という疑念や懐疑心は非常に重要です。特に会社側の取り繕うような説明に対して「そういうことなのか。」「まぁ、いいか。」という安易な納得は禁物です。
 特に粉飾が行われている状況下では、首尾一貫して嘘の証言が行われることは稀で、話していることが矛盾することが多くあります。監査報告の期限にばかり意識が残り、本来得なければならない心証を得ないままに意見表明することは厳に慎まなければならないのです。
 粉飾する側も人を騙すことに本気なのでしょうが、監査する側も騙されないように本気にならなければなりません。

 なお、その後2012年2月にFOIの社長と専務は、懲役3年の判決(さいたま地裁)を受けました。
 判決理由で「粉飾率90%超・・・52億円もの資金を集め・・・投資家の信頼を裏切り、証券市場の制度の根幹を揺るがし極めて悪質」と指摘されています。Taku
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プロフィール

TwoNT

Author:TwoNT
 当ブログは、中里会計事務所による不正事例研究会の記事を発信しています。
 不正事例研究会 中里会計事務所
実際の事件を知ることが、同様の事件を繰り返させないための想像力を養い、対策を有効に機能させるための第一段階になると信じます。
連絡先:中里会計事務所 電話03-6228-6555
中里会計事務所

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