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2019年3月 大和ハウス工業の関連会社における不正

 大和ハウス工業株式会社(東証一部)は、「中華人民共和国の関連会社における不正行為に関するお知らせ」を公表しました。
 大和ハウスの関連会社である大連大和中盛房地産有限公司(中国大連市)において、預金残高と帳簿に差異があることが発覚し調査したところ、合弁先の大連中盛集団有限公司から派遣されている取締役ならびに出納担当者(計3名)による不正の疑いがあるとのことです。関連会社は不正実行者3名に対して、刑事告訴の手続きに入りました。
 預金残高と帳簿の差異の原因は、不正な会社資金の引き出しであり、現時点で判明しているその差額は234億円(14.15 億元)です。
 当該会社は、大和ハウス工業の持分法適用関連会社であるため、上記の差額が不正流用でありその全額が回収できなかった場合には、約117 億円の持分法投資損失(経常損益)を計上する見込みとのことです。
 同社は、再発防止策として、①第三者委員会の設置(全容解明、再発防止策の検討)、②海外でのリスクマネジメントの強化(海外のグループ会社においても平時のリスクマネジメントに加え、有事の際の危機管理にも対応させる)を掲げています。

 なんとも不幸な事件です。
 これほど単純な不正はありません。
 再発防止策は「預金残高と帳簿残高を定期的に照合する」というコントロール1つで済むかもしれません。しかし、本不正はあまりに金額が大きいため、こうした単純なコントロールのみでは不釣り合いなのでしょうか?
 また、同報告書では「当社は、役員・従業員の派遣や会計監査人による監査を通じて会社の運営状況を確認しておりました。しかしながら、長年にわたる合弁事業において業務執行を合弁先に依存していたことで、このような事態を招いたことから、今後は関連会社の内部統制システムについても、見直しを行っていく方針です。」としてあります。
 
 もしかしたら、会計監査人のによる監査に不備があるかもしれません。
 また、業務執行を合弁先に依存していたとしても、年に一度でも残高証明書等と照合すれば発覚できたのではないでしょうか? それとも、巧妙な隠蔽工作が伴っていたのでしょうか?
 第三者委員会の全容解明が待たれます。Taku
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2019年2月 いなげやの従業員不正

 スーパーマーケット事業を営むいなげや(東証一部)が従業員不正を公表しました。
 発覚は内部通報だったようです。
 公表資料では、2015年4月~2018年11月にかけて、従業員3名が、①在庫金額の嵩上げ、②計上時期の変更、③不要な商流の介在により、④社内業績目標達成や、⑤私利を図ることを目的としていたようです。
 このうち、④社内業績目標の達成は、粗利を上げればよいので、①在庫金額の嵩上げや②の在庫の計上時期の変更(計上時期の遅延)といった手法が想定されます。また、⑤の私利を図るには、④社内業績目標の達成による報奨金等の収受も想定されますが、③不要な商流の介在に起因した在庫の横流しか、当該商流の購入に係るインセンティブ等の着服・又は当該商流に係る販売代金の着服といった不正手法が想定されます。
 いずれにしても、①②③を手段として④⑤の目的を達成していたとのことで、それぞれ複合的に関連付けられるのでしょうが、そうした詳細は本報告では不明です。
 ちなみに、スーパーマーケットは、回転期間の著しく速い多品種少量の在庫を多額に保有する特異な業界です。生鮮食品の消費期限切れによる処分と従業員の持ち帰りの峻別の必要性や、従業員・客の万引き、売価還元法という簡便的な在庫金額の算定手法等、特異な管理が必要なケースが多いようです。
 会社は、本不正について、2018年11月に社内の調査委員会にて調査を開始し、2019年2月に社内規則違反を確認、取締役会にて処分を決定しました。

 私は、単純にこうした軽微な不正を公表する必要があるのか疑問を持ちます。
 一般的な公表基準としては、過去に何度か指摘していますが、「上場会社の運営、業務若しくは財産又は当該上場株検討に関する重要な事実であって、投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすものが生じた場合」が該当します。今回の不正は、金額的にもほとんど重要性はなく、投資者の判断に影響を及ぼすことは考えられません。
 この点、会社は、「今回発表を行ったのは、公正な調査を実施するため関係者による隠蔽防止の観点からであります。」としています。つまり、公表を前提とすることで、本調査が厳正に行われることを期待したのでしょう。これも経営判断でしょうし、軽微なものでも開示する姿勢の方が社会的に信頼されるのかもしれません。
 果たして、不正実行者の2名は懲戒解雇、1名は懲戒処分(降職)の処分を受けました。
また、管理監督責任として2019年2月に専務取締役営業統括が辞任しています。
 会社は、本不正についての問題点として、社内チェック・牽制体制に不備があったこと、従業員に対するコンプライアンス教育が不十分であったこと、人事ローテーションの適切な実施がされていなかったことが原因としています。
 なるほど、その通りでしょう。
 
 最近、ファスト・フードやレストラン等の店員による、単に「悪ノリ」とは言えないような見苦しい映像を目にすることがあります。こうした愚かしい店員は、「一般の人がみたらどう思うのか」「自分がやったことが社会に知れるとどうなるか」という想像力が欠如しているのでしょう。
 会社としては、会社の信用を毀損したことについて刑事告訴も辞さない厳正な態度で対峙すべきでしょう。そうした法規を遵守させる雰囲気を経営者が作ることが、会社と店員を守ることにもなるのでしょう。Taku
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2019年1月 カルロス・ゴーンと日産と三菱自動車(さてどうなるか?)

 以下、日産自動車の公表した資料からの抜粋です。
 2019年1月11日、元代表取締役会長カルロス・ゴーンは、金融商品取引法違反(2015 年~2018 年の虚偽有価証券報告書提出罪)及び、当社を被害者とする会社法違反(特別背任罪)により起訴されました。また、日産自動車は、カルロス・ゴーンの会社法違反について、東京地方検察庁に対し、刑事告訴をしています。
 告訴にかかる犯罪事実は、カルロス・ゴーンが自己の資産管理会社と銀行の間で締結していたクーポンスワップ契約において多額の評価損が生じたことから、この契約の当事者たる地位を当該資産管理会社から当社に移転させた事実と、サウジアラビア王国所在の法人名義の口座に対し、当社の業務との関係で支払の理由が認められない合計1,470万米ドル(約16億円)を送金させたという、2つの事実からなるものです。
 敢えて会社公表の資料を引用しているのは、マスコミの報道合戦もあってか、種々の情報が錯綜しているためです。カルロス・ゴーンの強気の姿勢もあり、また長期の拘留に対する批判的な見解(我が国の刑事告訴手続への批判等)も相まって、「もしかしたら見解の相違なのでは?」「検察側の勇み足ではなかったのか?」という論調のマスコミも現れてきた感じがします。
 
 マスコミは「真実は何か」という視点を重視すべきですが、報道機関によっては「どう報道したら面白いか」という悪い癖を出します。また、マスコミは平易に報道することを重視する余り、細かく伝えない限り正確に表現できない事実を、安易に総括して自ら誤解しつつも堂々と報道することがあります。
 これらの点には十分に気を付けながら、新聞なり、ニュースなりを読まなければなりません(決して「新聞に書いてあったから」と鵜呑みにする姿勢は厳に慎まなければならいません)。

 一方、三菱自動車は、「当社取締役前会長による不正行為に関する内部調査結果について」を公表し、ゴーン氏が日産自動車と同様の不正行為が行われていないか、内部調査の結果を公表しました。
 それによると、三菱自動車と日産自動車とが折半出資で 2017 年6月に設立したオランダ法人(Nissan-Mitsubishi B. V.)から、ゴーン氏が Managing Director 報酬名目等で不正に金銭の支払を受けていたことが判明したとのことです。
 上記のオランダ法人は、三菱自動車と日産自動車の協業によるシナジー創出の促進を目的として設立され、その目的のため、2018 年 4 月、両社で合わせて約 1,562 万ユーロ(訳21億円)を同社に支払っています。カルロス・ゴーンは、この資金を原資として、782 万ユーロ(約 10 億円)の支払を不正に受けていたとのことです。この支払いの名目は雇用契約による報酬等のようですが、本決済は権限のない者により行われており、手続が適正に行われていないとの指摘もあります。
 三菱自動車としては、日産自動車とも協力して、ゴーン氏に対する責任追及を検討してまいります、としています。
 
 不謹慎ではありますが、心のどこかで日本の企業としての日産を応援しています。
 「やっちゃえ日産」は矢沢永吉のセリフですが、私は素直に「がんばれ日産」と応援しています。
 検察は? 三菱自動車は?
 これらはあまり興味はありません。検察も、三菱自動車も、過去の事件からか、正直、好きな組織ではありません。
 いずれにしても、今後の動向に注目しましょう。Takun
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 当ブログは、中里会計事務所による不正事例研究会の記事を発信しています。
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